「なぜ 人に会うのはつらいのか」

対談

 佐藤優、斎藤環著の1月10日発行の中公新書「なぜ 人に会うのはつらいのか」を贈っていいただきました。大学院の後輩の斎藤環さんから。しかも、佐藤優さんは、たしか、浦和高校出身ではなかったでしょうか。

 お二人の話はとてもよくかみ合っていて、根底には人間に対するやさしさのようなものが感じられます。お二人ともご苦労なさってますからね。佐藤さんは、512日間も拘置所に入っていたそうです。しかも、現在、末期の腎不全だそうで、活動できる時間が少ないとおっしゃる。貴重な対談だと思います。

 斎藤さんは、ひきこもりやオープンダイアログなどを研究する精神科医。佐藤さんは、神学大学を卒業後、外交官になった方で、キリスト教やロシアにも精通しています。

その2人が世の中に隠れている優生思想の問題点やさまざまな問題を、精神医学の観点から、宗教の観点から解説していきます。 対談なので読みやすいですし、気づかされる点も多いです。

 さて、私が特に興味をもったのが、斎藤さんが紹介した自殺に関する研究についてです。日本には、自殺の希少地域というのがあるそうです。その一つが徳島県にあり、そこでの町で自殺が少ないのは、ある独特の習慣によるということです。

 その他にも多くの興味深い内容があります。お読みいただけたらと思います。

自殺の希少地域

その町は、徳島県の南側にある太平洋に面した町で、海部町(かいふちょう)といいます。2006年に合併して海陽町となっています。これは、新聞でも自殺の少ない地域として紹介されてたそうです。また、岡壇(おかまゆみ)さんという方が研究され、「生き心地の良い町」(2013年)という本も出版されています。

 人口は3,000人程度。1973年から2002年までの30年間の平均自殺者数が近隣より低いそうです。人口10万当たりの平均自殺率が、両隣の町では26.2と29.7でした。しかし、海部町は8.7だったそうです。

 岡さんは、オープンダイアローグにも興味をお持ちの様です。それで、斎藤さんが佐藤優さんとの対談の中で話を持ち出したのだと想像しました。

 岡さんは、海部町に自殺が少ない理由として、多様性を受け入れるという性質があること。均質や統制を求めないということ。学歴等より人物本位主義。「病、市に出せ」という悩みをオープンにするという考え方があること。日常的に強く協力するというよりもあっさりとした付き合いをすること。など、他の町とずいぶん異なっていることが紹介されています。

 これにたいへん興味を持ち、いろいろと文献を読んだりしてみます。

2022年2月