当院のコロナクラスター報告(3)

発生数と性差

 1月16日から始まったクラスターですが、2月7日現在までに、職員14人、患者さん58人、計72人が感染しました。御本人、ご家族様、関係者の皆様には、たいへんご心配をおかけしています。

 職員14人中9人が女性です。一方、患者さんは58人中男性が49人と、ほとんどが男性ですが、これは男性病棟中心に流行ったからです。

感染経路

 感染経路は必ずしも明確でありませんが、患者さんは病棟閉鎖の状態でしたので、職員が持ち込んだことになります。無症状感染者から複数の経路で移った可能性もあります。

症状

 この72人の中で発熱の見られた方は、45人、62.5%です。37度台の方から、39度台の方までいました。発熱以外の症状があった方は10人の13.9%です。無症状の方は、17人、23.6%です。ざっくりいうと、6割が発熱あり、1/4は無症状、その他が発熱以外の症状だけとなります。

 発熱は、1-2日間がほとんどです。だるさ、のどの痛み、咳などは少し続く人もいますが、4-5日目には何の症状もないという人が多いです。

重症度

 酸素飽和度の低下した方(SpO2<90%)は2人で、一人は1日くらい少量の酸素を使用しました。もう1人の方は、もともと軽度の呼吸不全のあった方であり、現在も酸素を必要としています。したがって、無症状17人、軽症者53人、中等症2人ということになります。

経過

 ほとんどが、発熱は1日か2日で軽快し、すべての方が10日で退院扱いになっています。職員14人中13人は退院扱いとなっています。一時は、同時に10人休んでいましたが、これは1月24日です。患者さんは、今日(2月7日)時点で、58人中26人が退院扱いとなっています。あすさらに9人が退院扱いとなります。

ピーク

 1月16日から始まり、感染開始がもっとも多かった日は、1月29日で11人です。罹患中の人が最も多かったのは、1月31日の50人です。もう、すでにピークは越えており、職員がほとんど復帰していますので、運営に問題はなくなりました。

広がり方

 当院には、8つの病棟がありますが、そのうち感染した患者さんは3病棟に限られています。職員はその内2病棟だけです。発生した病棟は、老朽化した病棟で、病室や看護室が狭いという特徴があります。

ワクチンの効果

 患者、職員合わせて72人のうち、ワクチンを1回もしていない人は4人のみでした。68人はワクチンを2回していましたが発症しました。印象ですが、2回のワクチンの効果は乏しいように思います。

 職員は、232人中176人が3回のワクチンを接種済みです。しかし、患者さんの方は、まだ、進んでいないのが実態です。2回目の注射から6か月経ていない人が多いからです。それでも最速で進めてはいます。

終息の見通し

 職員もほぼ全員復帰していますし、毎日、患者さんも治療期間(療養期間)が終了しますので、ほかの病棟で発生しない限り、時間の問題で終息に向かうと考えられます。

 私自身はもうそれほど心配していないのですが、まだ、発生していない病棟の職員の大くは当然ながら不安が強いようです。世間の感染数もまだ増えてますので、慎重にいきたいと思います。患者さんには大変な不自由をお掛けしています。