どう主張するか? 道元から学ぶ
道元の弟子である懐弉(えじょう 1198-1280)は、道元が僧たちに話した内容をかきつづっています。その正法眼蔵随聞記の中から、印象深いところをお示しします。
道元はこう言いました
自分は道理にかなったことを言っているのに、相手が間違ったことを言っても、理屈で攻めて相手を言い負かすのはよくない。また次に、自分では、確かに自分の方が道理に合っていると思っても、「わたしが間違っているのでしょう」と言って敗けて引き下がるのも、あきらめが早すぎてよくない。ただ、相手もへこませず、自分の間違いにもしてしまわず、何事もなく、そのままにしておくのがよいのである。相手の議論も聞こえないようにして、気にかけないと、相手も同様に忘れて、怒りもしないのである。何より大切な心得である。
自分の意見をどう主張するかは、重大問題です。欧米では、ディベートです。ともかく論理的に主張し、論破する。しかし、人間はなかなか人の意見を聞き入れません。
自分は道理にかなったことを言っていると思うのですが、相手も自分の道理にかなったことを言っているのです。相手が間違っていると思っているのは、相手も同じです。
自分が正しい確率は50%でしょう。道元は、決着はつけない。そのまま保留。そのうちはっきりしてくるでしょう。